安全保障関連法案が「可決」されたことに対する抗議及び
安全保障関連法の施行阻止に向けた活動の宣言
2015年9月25日
青年法律家協会岡山支部
支部長 弁護士 山本 勝敏
我々青年法律家協会は、1954年、憲法を擁護し平和と民主主義および基本的人権を守ることを目的に、若手の法律研究者、弁護士、裁判官などによって設立された団体であり、同岡山支部は、岡山弁護士会に所属する弁護士や法律研究者により1978年8月に結成された。
2015年9月19日、参議院において安全保障関連法案(以下「安保関連法案」という)が「可決」された(参議院の「我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」において有効な可決決議がされたとは言えないと考え、あえてカギ括弧を付する)。
これまで青年法律家協会岡山支部は、今年8月27日に「安保関連法案の廃案を求める声明」を、翌月11日に「あらためて安全保障関連法案の廃案を求める声明」を発表してきた。いずれの声明においても、安保関連法案が憲法に反するものであることを具体的に論じてきた。声明でも指摘した通り、与党が安保関連法案の合憲性の唯一の根拠としている砂川判決が集団的自衛権を認める理論的根拠たりえないことは明白である。また、全国で多くの国民が、連日安保関連法案に反対の声を上げ続けた。
そうであるにも関わらず、国会は、強行採決により安保関連法を成立させた。私達は、国会による数の論理による暴挙に強く抗議すると同時に、今後、安保関連法の施行阻止に向けた活動を続けていくことを宣言する。
いうまでもなく、憲法は、権力を抑制することで国家による行き過ぎを防止するためものである。かかる立憲主義の具体化として、国会議員は、憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負っており、憲法に合致しない法律を成立させてはならない。
そして、平和主義を標榜する日本国憲法の下では、専守防衛の限りで自衛権の行使が認められるとしても、専守防衛の範疇を超える集団的自衛権の行使は到底容認されない。これまで歴代政府はそのような解釈の下、自衛隊の活動範囲を憲法にかろうじて合致する範囲にとどめてきたのである。
しかし、この度成立した安保関連法は、集団的自衛権の行使を内容としており、明らかに憲法に違反する。また、安保関連法は、集団的自衛権の行使に直接関わらない部分でも、自衛官が武力行使できる範囲を広げ、武力行使と一体化しているとしか言いようのない弾薬の輸送を内容とするなど、憲法9条に違反する。
安保関連法のこのような問題点は、衆議院での審議の段階から多くの憲法学者、内閣法制局元長官、最高裁判所元判事や日本弁護士連合会、その他各種法律家団体から指摘され続けてきた。
それにも関わらず、国会が、安保関連法案をあえて「可決」したことは立法府に許された立法裁量を逸脱した行為と言わざるを得ない。
2015年9月18日から19日の夜、多くの国民が、国会前で安保関連法案を今すぐ廃案にするべきだと声を上げた。午前2時すぎに安保関連法案が「可決」された後も、多くの人が早朝まで声を上げ、「これからが始まりだ」と力強く訴え続けた。
私達は、国会による強行採決に強く抗議すると共に、今後、大勢の市民と共に、安保関連法の廃止に向けた活動を行っていくことを宣言する。
以上