安保関連法案の廃案を求める声明
2015年8月27日
青年法律家協会岡山支部
支部長 弁護士 山本 勝敏
私たち青年法律家協会は、1954年、憲法を擁護し平和と民主主義および基本的人権を守ることを目的に、若手の法律研究者や弁護士、裁判官などによって設立された団体である。そして、戦争が平和を奪い、人の人生を多いに狂わせるものとして断固反対し、人類の渇望する平和に対し強い関心を持っている。この平和を守る砦が民主主義であることに照らし、国家運営がまさに民主主義に則って行われるべきと考えている。
安倍政権による強引な解釈改憲や法案審議は、この平和と民主主義の両方を破壊する暴挙である。私たちは、青年法律家協会設立の原点に遡って、今回の一連の安保法制の法制化の動きを許すことができない。
現在国会で審議中の安保関連法案について、衆議院は、世代や立場を超えた多数の国民の強い反対にもかかわらず、これを強行採決した。その結果、安倍政権の支持率は10パーセント近く下落したことからしても、国民の多数が法案に反対であることが明らかと言える。その後も、国民の反対の声は大きくなる一方であり、全国各地であらゆる個人、団体により、法案に反対の集会やデモ、パレードが実施されている。
ところで、今回の法案は、集団的自衛権の行使のために必要な法整備とされているが、そもそも、歴代政府は、平和主義や憲法9条の下、限定の有無にかかわらず、集団的自衛権の行使そのものが許されないと解釈してきた。それにもかかわらず、安倍政権は、砂川事件最高裁判決を根拠の一つに挙げ、強引な解釈改憲を行おうとしている。しかし、そもそも砂川事件は、日米安保条約に基づく駐留米軍が憲法第9条に反するか否かが問われた裁判であり、わが国の自衛権の内容が問われたものではない。したがって、判示の「自衛権」を認めた部分についても、裁判所が集団的自衛権を念頭に言及したとは認められない。このことは、数多くの法律家団体や憲法学者が繰り返し指摘してきたとおりである。
その意味で、安倍政権による暴挙は、まさに立憲主義、国民主権に反するものと言わざるを得ない。
このように、違憲性が明らかな本法案であるが、現在行われている参議院での審議により、ますますそのことが明白となった。
特に、法案に基づく自衛隊の後方支援活動の中身については、弾薬の運搬や発進準備中の戦闘機への給油もできることとなっており、もはや憲法9条の禁止する武力の行使そのものと言わざるを得ない。
また、法案がまだ成立していない段階であるにも関わらず、自衛隊統合幕僚監部がガイドライン及び平和安全法制関連法案を受けた今後の方向性を詳細に議論していることが明らかになった。これは、法案の成立を先取りするものとして国会を軽視するものであり、またシビリアンコントロールの観点からも憲法上、大問題である。
よって、本法案は、違憲であるから仮に成立したとしても、明らかに無効である。
私たちは、本法案の廃案を強く求める。
以上