気候変動対策のための政策形成過程に将来世代を登用せよ(2021.11.19 古謝 愛彦会員)
1 英グラスゴーで開かれていた第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が11月13日、成果文書「グラスゴー気候合意」を採択して閉幕した。合意文書のポイントは以下のとおりであった。
・気温上昇を1.5度に抑える努力を追求
・必要に応じて2022年末までに2030年の削減目標を再検討
・排出削減対策の取られていない石炭火力の段階的削減へ努力
・先進国から途上国に年1000億ドルを支援する2020年までの目標が達成していないことに深い遺憾。速やかに達成するよう求める。
2 このCOP26において注目されたのが、10~20代の将来世代の呼びかけである。
スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんをはじめ、現地グラスゴーには多くの将来世代が集まった。また、世界各地やSNS(交流サイト)で、より積極的な気候変動対策を求める多くの声が上がった。
日本からも「フライデー・フォー・フューチャー(未来のための金曜日
」の日本組織から高校生と大学生計5人がグラスゴーを訪れた。また、日本でも、多くの将来世代が全国各地の路上でデモ活動を行ったり、SNSで情報発信を行った。
3 毎年のように起きる大規模な自然災害をみるに、気候変動対策に本腰を入れなければ、将来、この地球で生活することは困難になるものと思われる。
気候危機により、生命や健康、居住、社会経済生活を営む権利(憲法13条、25条、環境基本法3条、世界人権宣言前文、同宣言3条、自由権規約6条)等への脅威が現実化している。
今や気候危機は重大な人権問題であり、折りしも国連人権理事会は10月8日、「安全、清潔で健康的かつ持続可能な環境へのアクセスは基本的人権」であるという、環境の権利を人権と認める初めての決議を採択した(賛成43、反対0、棄権4(日本・ロシア・中国・インド))。
4 気候変動対策に今すぐ取り組まなければならないということは、10~20代の将来世代ほど、ひしひしと実感しており、だからこそ、気候変動対策への関心は若年層ほど高いものになっている。
こうした将来世代の熱い思いや行動力を、ぜひ、政策形成過程に直接反映させてほしい。
ただ「若者の声を聞いた」だけでは不十分である。多くの将来世代をどんどん政策形成過程に登用してほしい。何なら、環境大臣を20代の民間人が務めて、トップダウンで政策形成を行ってもよいとも思う。