沖縄・宮古島への自衛隊配備計画と地下水問題(2017.8.2 古謝 愛彦会員)
先般、早めの夏休みを取り、家族で沖縄・宮古島を訪れた。
宮古島は亡祖父母が住んでいたこともあって、幼少期から頻繁に訪れているが、2人の子どもたちにとっては初めて。エメラルドグリーンの海で海水浴をしたり、親戚と一緒に会食したりして、充実した夏休みを過ごした。
9年ぶりの宮古島を車で移動していると、あちこちに、「自衛隊配備計画反対」と書かれたのぼりが立っていた。
防衛省は南西防衛強化を理由に、陸上自衛隊警備部隊やミサイル部隊などの拠点となる駐屯地の建設を、ことし8月中にも始める方針であると報道されている。
この計画に対し、宮古島の地下水へ悪影響を与える可能性が指摘されている。
宮古島は平坦な島で高い山がないため、河川が発達しにくく、飲料水のすべてと灌漑用水のほとんどを地下水に依存している。島内には地下水を貯蔵するための地下ダムもある。
そのため、地下水の保全は死活的に重要な問題で、宮古島市地下水保全条例に基づき地下水利用基本計画を策定。市長の責務として、水質・水位などのモニタリング調査、地下水流動状況把握のための継続的な地質調査などを行うように求めている。
ところが、自衛隊配備計画が進んでいるにも関わらず、飲料水の水源となる水道水源保全地域から外れることなどを理由に、地下水の地質調査が行われていないほか、専門家からなる地下水審議会の意見聴取を回避しようとしている。
そもそも、地下水の流れについては不明瞭な部分も多く、水道水源保全地域から外れるとしても、保全しなくてよいことにはならない。大規模な自衛隊施設の建設・運営に伴う、地下水の汚染や赤土流出による自然生態の激変の恐れなどに対する住民の懸念(実際、地元集落は反対決議を出している)を無視してはならない。
沖縄本島では米軍基地から汚染水が流出し、基地周辺の河川を水源とするポンプ場や浄水場などから汚染物質が検出されるという事態が起こっている。
地下水が汚染されては、宮古島で生きていくことはできなくなる。
さらに言えば、宮古島、石垣島、与那国島へ自衛隊を配備する南西防衛強化は必要なのか。軍拡競争になるだけではないか。沖縄戦では沖縄が本土の「捨て石」とされたが、次は、宮古島を始めとする離島が日米の「捨て石」とされてしまうのではないか(←防衛上の問題については今後のコラムで検討する予定)。
私のルーツでもある宮古島への自衛隊配備計画と地下水問題について、今後とも注視していきたい。