安保法案反対運動におけるSNSと街宣(2015.11.2 古謝 愛彦会員)
この夏,安全保障関連法案(以下,「安保法案」といいます。)に反対しようと,講演会の講師をしたり,集会で発言したり,街宣活動をしたりしました。そんな中,体験したこと,感じたことを述べたいと思います。
私は,SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略)のうち,ツイッターとフェイスブックを利用しています。
このうち,フェイスブックでは,何人かの従姉妹ともつながっているのですが,「アベ政治を許さない」のポスターを掲げている従姉妹の写真を見つけたり,安保法案に反対する学者の会で活動している別の従姉妹を発見したりしました。これまで,従姉妹同士,政治的な話を一切したことがなく,今後も,会った時はお互いの子どもの話くらいしかしないと思います。そんな従姉妹たちが,同じ目的に向かって活動しているのを知ると,私も元気をもらい,「頑張らなければ」との思いを新たにしました。
ツイッターでは,SEALDs(シールズ,「自由と民主主義のための学生緊急行動」)をフォローしているのですが,学生たちが,連日,熱心に活動している様子を知り,学生たちに負けてたまるか,と思ったりしました。
SNSにはこのように,同じ意見の方々とつながることで,勇気づけられるとともに,同じ意見の方々をつなぎ,大きな力にする作用があると思います(今回の国会前反対運動のように)。
他方で,SNSでは,同じ意見,似た意見の方とはつながりやすいのですが,反対の意見,今回では安保法案に賛成の方とつながることはあまりないのではないでしょうか。
講演会や集会でも,どうしても,安保法案反対の方は反対派の集会へ,賛成の方は賛成派の集会へ集ってしまいます。
そんな中,自分の意見と異なる方々に対し,どのようにすれば,自分の意見を伝えることができ,理解してもらえるのでしょうか。
正直,分かりません。しかし,この夏,弁護士会で毎週1回,岡山駅前で街宣活動をし,安保法案反対を訴え続けた中で,少し,街宣活動の意義を感じました。
すなわち,街頭を歩いている方には,反対派だけでなく,よく分からないという方,無関心の方,賛成派,と様々な方がいます。こうした様々な立場の方へ訴える場として,街宣活動の意義が認められるのではないでしょうか。
たぶん「うるさいな」とか「ティッシュだけもらおう」と思っている方が大多数だとは思います。しかし,そんな中,無関心だった1人にでも「安保法案には問題があるんだな」とか「やり方が強引だな」と感じてもらい,安保法案反対へ傾けることができれば,街宣活動は成功だったといえるのではないでしょうか。
一番いいのは,賛成派と反対派が一緒に集会を開き,集会の場で議論を戦わせることなのですが,なかなか容易ではありません。
そんな中,次善の策として,街宣活動の意義を感じているのです。
いずれにせよ,今後も,SNS,街宣活動と,それぞれの利点を生かして,安保法反対運動を続けていきたいと思っています。