イスラム国と安倍首相(2015.2.4 呉 裕麻会員)
イスラム国というテロ組織により、邦人2名の命が奪われるという残虐非道な事件が起こりました。イスラム国による動画での殺害予告の後、安倍首相は、人命第一を掲げる一方で、テロに屈しないとの発言を繰り返しました。2名の殺害が確認されて以降は、この事件を契機として憲法9条の改正に意欲を示す発言もしています。
しかし、憲法9条を改正し、自民党が示すような国防軍を保持したところで今回のような誘拐事件の際に邦人を救出できる可能性は極めて低いと言わざるを得ません。むしろ、国防軍を出動することで、テロリストを刺激し、結果として日本国内を含めてさらなるテロの脅威にさらされることでしょう。
もともと、憲法9条は国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇や行使を否定することで、日本が世界平和に果たすべき役割を国に対して命じた規範です。今回の誘拐事件の際に、かかる憲法9条の理念を放棄し、むしろイスラム国を刺激するような安倍首相の演説や発言こそ、反省されるべきではないかと思います。